愛着理論は、心理学者であり精神分析学者でもあるジョン・ボウルビィによって確立された。また、発達心理学者のメアリー・エインスワースによる1960年代から1970年代の研究は、愛着理論の基本的な概念を確立した。「安全基地」という概念を提案し、また幼児における愛着行動のパターンを分類した。

 

▶子どもと成人の愛着パターン  

 

(1)乳児期の愛着パターン(ストレンジ・シチュエーション法) 

 

Ⅰ.安定型:母親と離れるときには分離不安を示し、泣いたり後追いしたりする(愛着行動)。再会時には母親を歓迎し、母親が慰めるとすぐに落ち着く。

●母親の特徴:子どもの欲求や感情に敏感であり、適切な対応をする。子どもとの遊びや身体接触を楽しんでいる。母親自身の愛着も安定している。

 

Ⅱ.回避型:母親と離れても平気で、母親と再会しても愛着行動を示さず、一人で遊んでいる。

●母親の特徴:子どもとの身体接触が苦手で、子どもと距離をおいたり拒否的に振る舞ったりする。手のかからない自立した子どもを求める。幼少期に親との間で安定した愛着を経験していない。自分自身が自分の欲求や感情を親から拒否または無視された過去を持っている。

●回避型の子どものその後(以下の特徴のうちのいくつかが生じる)

自分の感情を偽り、実際以上に明るく振る舞うなど、「良い子」になる。

人の世話にならず自分の力だけを頼りに行動する傾向が身につく。

相手の気持ちを読み取り、嫌われないように行動する傾向が身につく。

親を喜ばせるために、課題、学業、運動などの面で高い成果をあげようとする。

 

Ⅲ.アンビヴァレント型:母親と離れるとき激しい分離不安と愛着行動を示す。再会しても、母親に接近すると同時に怒りを示すなど正反対の感情が併存する。

●母親の特徴:子どもの欲求や感情に対して鈍感であるか、敏感な時と鈍感な時の差が大きい(一貫していない)。自分自身が子どもの頃に親への愛着が不安定であった。自信がなく、子どもから拒否されるのを怖れ、子どもと距離が近すぎ、過保護になりやすい。

●アンビヴァレント型の子どものその後

①精神的に自立できず、自信がなく、他者からの関心や愛情を強く求める。

②情緒不安定で対人関係に振り回され、課題や学業などに集中できない。

 

Ⅳ.無秩序・無方向型:ある時には愛着は安定しているのに、別のときには急に不安定になるなど、愛着に一貫性が見られない。いつもと違う自分が急に出現したり急に放心状態になるといった「解離」症状がみられることがある。

●母親の特徴:過去に虐待などを体験しており、心理的に不安定で、突然に表情や言動が変化し、パニックに陥ることがある。そのような母親に対して、子どもは怯えている。

●無秩序・無方向型のその後

①暴力などで相手を脅かし、思い通りにさせようとする傾向が出現する。大人の指示や要求に従わない、扱いにくい子どもになる。

②過剰に他者に気を遣い、他者の世話を焼き、他者に合わせる子どもになる。

 

(2)成人の愛着パターン(「成人愛着面接」で測定)

 

安定-自律型:親との愛着関係を、ポジティブな面についてもネガティブな面についても的確な例を用いて語ることができ、その際に極端に動揺したり混乱したりしない。愛着関係をポジティブに評価している。

 

軽視型:親との愛着関係を詳しく思い出すことができず、ポジティブな面のみを語る傾向がある。愛着関係を軽視しており、愛着関係がなくても大丈夫であると語る。他者への依存と他者からの依存を嫌がる。

 

とらわれ型:親との愛着関係を思い出すと動揺したり混乱したりし、激しい感情が噴き出す。過去の愛着関係の問題が未解決であることがわかる。他者からの承認や賞賛を求めており、依存的になりやすい。

 

未解決-無秩序型:幼年期に親から虐待を受けているなど、過去のトラウマが未解決であり、過去の愛着関係を話していると話のつじつまが合わなくなったり現実的にありえないことを行ったりする。親になると、子どもの前で急に解離状態になるとか、子どもに対して敵意か無力かのどちらかで反応するため、子どもを怯えさせる。