▶投影と社会  

 

精神分析学では、投影という現象が最も基本的な概念になります。投影とは、自分の中で起こっている不安や欲求を、相手などに映し出してしまう心の働きです。人はなぜ投影するのか?というと、人は他者と関係することで生きているからです。投影には、良い投影と悪い投影があります。基本的に、仲間だと思っている相手には良い投影をしていますが、その一方で、敵だと思っている相手には悪い投影をしています。そして、人は仲間や家族を作り、経済的にも豊かでありたいと思っており、と同時に、人は仲間や家族を守るために敵と戦う必要があります。また、敵を作ることで、仲間と結託し、利益を共有することがあります。この世界は、私と私の仲間、仲間でないもの、敵対するものなどで構成されていて、良い投影と悪い投影が入り混じった状態にあり、社会は良くも悪くもあるのが現実です。  

 

▶投影性同一化 

 

投影性同一化の目的は、様々な不安や衝動を分割排除して身をかわすこと。自己や自己の一部分を投影して対象を支配することにより対象と分離しているという印象を回避すること。対象の能力を乗っ取り自分のものとすること。対象を攻撃し破壊することなどである。

①自己の一部分を他者の中に投げ入れる空想。

②対人的なやりとりを通して、投影の受け手に、投影するものと一致する感情を経験するような圧力が加わる。

③投影の受け手がその投影に心理的改変をした後、再度投影の送り手は内在化する。

 

▶投影性同一化 のコミュニケーション的側面  

 

精神分析的心理療法を施行するうえで、投影同一化という現象は、とても重要な概念になります。投影は、投影の受け手は、投影された内容の影響を受けませんが、投影同一化では、投影する側と、投影の受け手が相互に影響し合っており、コミュニケーションの側面として見ることができます。そして、相手に妄想的で迫害的な不安を投影するトラウマティックな投影同一化と、相手に肯定的な面を投影する共感的な投影同一化があります。トラウマティックな投影同一化する人は、心や身体が傷ついている人が多いです。