〇無意識

フロイトは、受け入れがたい記憶、空想、願望、思考、思いつき、そして苦痛なできごとの光景は、それと結びつく情緒とともに、抑圧によって無意識に押し戻される、と仮定した。フロイトは、無意識の役割について、神経生物学的な説明を提示することを望んだのであり、それは心的エネルギー、すなわちリビドーの流動、拘束、解放を基本とするものであった。今日の精神分析では、無意識は、名詞であるよりむしろ、形容詞となっているのであり、無意識というものであるよりも、無意識のプロセスである。ユングは、無意識のなかでも、いっそう現実から離れた、神話のような側面を強調した。ユングは人間の経験のなかでも宗教的、霊的側面に格別の関心を寄せ、集合的無意識という概念を導入した。サンドラーは過去の無意識と現在の無意識というように区別をした。成人における過去の無意識とは、「内なる子ども」であり、修正されないかたちで留まって、反応や願望、要求の決定を強い役割を担っている。

 

〇一次過程と二次過程

フロイトによると二次過程思考は現実原則によって拘束されており、そこから生じる概念的言語的論理によって世界を正確に評価することが可能となる。一方、夢に代表されるような一次過程思考は、原始的で合理性が低い心的活動なのだと考えた。それは、欲望する体験、欲望される対象、思考の万能感からなり、現実をそのものとして捉える現実原理を犠牲にすることによって成立する。

 

〇超自我

良心や理想で描写されることもあるが、むしろ親との関係性であると捉える向きもある。関係性で言い表すと、親への幼児の愛着が起こる。しかし、その欲望の満足は親により妨げられることがある。幼児は欲求不満に対して、復讐的攻撃傾向を持つが、それを抑圧し、親の権威に同一化し、それを自己の中に取り入れる。これが超自我の起源であり、その過酷さは子どもが権威に向けていた攻撃性に由来する。 

 

○イド

基本的で生来的な欲動や、性的衝動、攻撃的衝動を表す。

 

〇分裂

①対象の分裂か、自我の分裂か。

②分裂が良い、悪いのように一貫しているか。それが断片化していくか。

クラインは自我の分裂に関心を示すようになり、投影性侵入で対象の中に、悪い自己を側面を分割して出すことを記述する。 

 

○破局理論

クラインが提示した発達の変遷(破壊の怖れ→迫害不安→抑うつ不安)のなかで、クライン自身は、迫害不安を理論と実践の中心においた。しかし、ビオンは、力点を破壊の恐怖に置いた。いったんバランスをもって安定していたパーソナリティがその本質/根源を揺るがすような体験をするとき、それを破局/破局的変化と呼んだ。破局の不安が、パーソナリティにとって根源的な不安である。この根源的不安は、あらゆる時期にも起き得る。分離-固体化の時期、エディプスの時期、思春期危機、中年期危機…。

 

○自己愛構造体

ロゼンフェルドは、妄想-分裂態勢の迫害不安の防衛に働くが、抑うつ態勢での抑うつ不安のワークスルーを妨げる、破壊的悪い対象と悪い自己が自己愛的に融合したパーソナリティ部分であり、依存的なよい自己を倒錯的快楽で取り込み、その快感に嗜癖化させることで、健康への進展を妨げる。

 

○羨望

クラインは、自分以外の誰かが望ましいよいものを我が物としていて、それを楽しんでいることへの憤怒の感情…羨望による衝動は、憎しみからよいものを奪い取るか、損なってしまうことにある…よいものがとり入れなくなる→自己破壊

 

○心的等価モード

自分が心で思ったことがそのまま外的現実として体験されている。自分の体験しているものがすべてであり、他の捉え方が思いつかない。

 

参考文献 

A・ベイトマン、J・ホームズ『精神分析入門』(訳  舘  直彦、増尾  徳行)岩崎学術出版社

松木邦裕『精神分析体験:ビオンの宇宙』岩崎学術出版社