▶欲望する心から愛する心への転換。  

 

精神分析的心理療法を受けに来る方は何らかの効果を期待するのものです。しかし、精神分析過程はとても大変なものになります。分析家はセッションの最中、あまり共感的な態度はとりませんし、被分析者の期待に応えようとはしません。どちらかというと分析家は、沈黙するなどの偏屈な態度をとるので、被分析者から不満が出てくるのが一般的です。やがて、被分析者は分析者の態度に疑問を持ち、セッションに対して抵抗を持つようになります。そして、被分析者は、セッションへの抵抗から何らかの行動化を起こします。分析家は被分析者の抵抗を分析しつつ、解釈を行うので、被分析者の抵抗がさらに強まったり、あるいは、心に響くことがあるかもしれません。分析家は、被分析者が快楽原則や脳の報酬系に従って行動していることを暗に示唆し、時にはそれに抗ったり、コントロールしてみてはどうかと提案します。すなわち、一般に人は行動に際し、脳の報酬系に問いかけており、GOサインの出たことのみ(欲求が満たされるとき、または、将来において報酬が期待されるとき)行動します。そのため、自分の思い通りにならない分析家との関係にこころが痛んだり、心地良さを提供しない分析そのものに否定的な感情を抱いたりするものです。それ故、「そもそも何のために分析を受けにきたのか?」といった問いを考えたり、思い通りにならないこころの痛みを共有していきます。  

 

ORIEN TEERの分析家は、共感的な態度を取りますし、気軽に話しやすい雰囲気作りの方に重点を置いていますので、長い沈黙や偏屈な態度は取りません。コンセプトとしては、人を愛することや利他性を重視しており、欲求が満たされるとき、または、将来において報酬が期待されるときの行動は、損得勘定ゆえに低い意識レベルとしています。ここでは、より高い意識レベルを目指します。高い意識レベルとは、こころであらゆる見方が可能になり、損得勘定から離れて、内側から沸き起こる意志を重視した状態を指します。すなわち、不合理、不確実ななかでも、見返りを期待せず愛する心、さらには、己の内側から沸き起こる意志から行動していける主体の構築を目指します。  

 

▶こころの成熟  

 

精神分析的心理療法は、毎週、決められた場所・時間に行われ、分析空間は、非日常的空間で行われます。精神分析を毎週続けていくことにより、自分にとって見たくない面と向き合う必要が出てきます。ここが日常会話と違うところになります。日常会話では、居心地の良い集団の中で、自分の見たいことを話し、聞きたいことしか聞かない傾向があるのに対して、精神分析過程では、自分の見たくない面や触れたくない感情を見ていく必要があります。今まで避けてきた自分の気づきたくないことを見ていくことで、人の有様は良くも悪くもあり、良い見方もできれば、悪い見方もできるようになります。人は良いものと悪いものを分けることで心を安定させますが、分析過程では、良いものと悪いものがまとまってくる感じや、固定化された物事の見方から変化が起こり、複数の柔らかい見方が可能になります。そして、見たくない面や触れたくない感情を統合することで、より抽象的な思考が可能になります。  また、自分の情動や本能を客観的に観察できるような、精神性を洗練させます。

 

精神分析的心理療法と日常会話の一番の違いは、先ほど述べたように、自分の見たくない面を分析家と共同作業で見ていくことと言えるでしょう。しかし、一般に人は、物事をみるとき、自分の見たい面しか見ようとしないものです。それ故、分析過程において、帰属性の投影が起こります。投影というのは、自分のとある衝動や資質を見たくないとき、自分自身を守るために、他の人間にその悪い面を押し付けてしまうような心の働きのことです。そのため、被分析者が悪いものを相手のものにして押し付けてくることを、分析家がどう扱うか、陰性感情をどのように引き受けるかが重要になってきます。そして、分析家は、被分析者の否定的な感情を引き受け、被分析者の不安感情を語られるように聞きます。こうして、被分析者は、分析家にこころの痛みを受け止めてもらうことで、物事を考え始めます。  

 

▶精神分析的技法

 

分析家は、被分析者に生じる抵抗・転移を分析し、明確化・直面化・解釈等の介入を行います。直面化とは、ある話をしたとき、あなたはどう思ったのか?と尋ねることです。明確化とは、話があいまいな時に、話のズレを指摘することです。解釈とは、分析家が慎重に行うのが良いとされており、分析家が情緒的に感じたことを被分析者に伝えていきます。ORIEN TEERの分析家は、情緒的に感じたことが悪いことであっても、ありのまま伝えることがあります。